2013年御翼1月号その4b

最も恐れるべきものは、「苦しみの価値を考えなくなること」

 ビクター・フランクルは、人間の苦しみは、三つのカテゴリーに分類できると言った。  1.痛み、2.罪悪感、3.変化、である。

  1. ローマ時代のアーチは、重荷を乗せられるほど、強くなる構造となっている。人生も同じである。痛みと苦痛の中で、人はより神に近づき、人生により大きな意味が与えられ、魂が謙遜になり、すべてが良くなっていく。ドストエフスキーは、人生で最も恐れるべきものは、「苦しみの価値を考えなくなることだ」、と言った。
  2. 罪悪感とは、何かが間違っていると教えてくれる感情である。しかしイエス様は、罪悪感に対して、二つの療法を与えてくださった。それは、恵みと改善である。恵みとは、どんな罪をも神は赦してくださるという事実である。
  3. そして、大きな苦痛をもたらすのが変化である。家族の死、来てほしくない人が仲間に入ったとき、失業や会社が倒産したときなど、人生では様々な変化が起こる。宇宙を見ると、流動、移動、変化ばかりである。それがこの世の現実なのだ。死、加齢、友を亡くすこと、引っ越し、新しい職場、失業などの変化は、かなりの苦しみとなる。人生の変化に対処するうえで、まずは、過去は永遠に固定され、残るということを知ろう。過去の功績は、永遠に不変のものとして残る。愛する者たちとの思い出、感動を与えることのできた人々、人生の途上で出会った多くの人々との体験は、不変のものである。それらは、歴史上に刻まれたもので、決して覆されることはない。

 昨年の暮れ、競売によりカトリック教会に買い取られたクリスタル・カテドラルの創立者シューラー牧師夫妻は、たいへんなストレスにさらされている。しかし、牧師となったシューラー三世は祖父母に言った。「近い将来、いろいろな変化が起こるかもしれないけれども、(礼拝の最初に必ずシューラー博士が宣言した)『この日は主が造られた。喜び楽しもう』の御言葉で、どれだけ多くの人たちが、自殺を思いとどまったことでしょう。そして、起業しようと決意できた人たち、先生になったり、学位を取得し、苦しみや痛みを乗り越えた人たちが数え切れないほどいました。これらの功績は決して変わることはないし、失われるものではありません。この教会のお陰で、死んでいたはずの何千人もの人々が今、生きているのです。」と。  人生での善い行いは永久に残り、その影響力は、それを成し遂げた人が死んだ後もずっと広がって行く。クリスタル・カテドラルの会衆は、まもなくその建物から出ていかなければならない。しかし、そこで起こった出来事を目撃した人たちの感動は、いつまでも残ることになる。(クリスタル・カテドラルは、カトリック教会となり、エキュメニカル(全キリスト教会)な祈りの場となる。)物事は変わり、人は変わっても、イエス様は昨日もきょうも、そして永遠に変わることがないからである。そのイエス様によって神の子とされる福音は、私たちを、この世の攻撃に立ち向かわせる力となる。

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